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キーワード順位の最新動向|2025年9月Google仕様変更

複数のディスプーを見る男。「キーワード?」という文字が書かれている写真

2025年9月、Googleは検索結果の「&num=100」パラメータを突然廃止しました。この変更により、これまでのように順位計測ツールを使って、Google検索結果の100位までを一度に表示・取得できなくなり、多くのツールに影響が出ています。

この記事では、「2025年9月の仕様変更の背景」「SEOツールへの影響」「代替策」「今後のキーワード順位計測」の重要性について解説します。

2025年9月のGoogle仕様変更とキーワード順位への影響

図①:Google検索仕様変更の影響範囲(2025年9月)
変更前(~2025年8月) 変更後(2025年9月~)
「&num=100」パラメータで最大100件を1ページに表示 「無限スクロール」に移行(自動で次ページを読み込み)
検索順位1〜100位が1画面で確認可能 初期表示は10件/以降は自動読み込み(段階的に表示)
順位計測ツールが「&num=100」でデータ取得可能 パラメータ無効化により、従来のスクレイピング手法が制限
順位データの安定取得が可能 順位取得精度が低下・ツール側で対応が必要

2025年9月のGoogle仕様変更は、SEO業界全体に大きな影響を与えました。検索結果を100件まで一括取得できた非公式パラメータ「&num=100(※1)」の廃止により、順位計測ツールでは、11位以降のデータ取得が制限されるようになりました

この変更は、Googleが掲げる「ユーザー体験の統一」「サーバー負荷の軽減」「スクレイピング対策(※2)」の一環として実施され、今後のキーワード順位分析の在り方を大きく変えるきっかけとなっています。

そのため、SEO担当者は単純な順位取得に依存せず、平均順位・CTR・クリック数など複数の指標を組み合わせた総合的な評価が求められます。データ精度を高めつつ、戦略的に順位変動について捉える分析手法を確立することが、今後のSEO施策において不可欠です。

※1「&num=100」:Google検索のURL末尾に付与することで、1ページに最大100件の結果を表示できる非公式パラメータです。2025年9月の仕様変更により使用不可となりました。

※2スクレイピング:Webサイトの情報を自動的に収集・抽出する技術。Googleでは過剰なスクレイピングを制限し、正規のAPIや公式ツールの利用を推奨しています。

num=100パラメータ廃止の背景と目的

Googleは2025年9月、検索結果を100件一括表示する「&num=100」パラメータを廃止しました。これは正式にサポートされていなかった仕様であり、検索体験の統一やサーバー負荷の軽減、スクレイピング対策が目的とされています。

とくにSEOツールや自動順位取得サービスによるアクセス増大が影響したとされ、ユーザー体験重視の流れが背景にあります。

検索体験の統一・サーバー負荷軽減・スクレイピング対策

今回の2025年9月の変更は、検索結果の表示方法を統一し、Googleが推進する無限スクロール仕様との整合を図る狙いがあります。

従来のページ分割表示(1ページあたり10件の表示)から、ユーザーがシームレスに結果を閲覧できる体験へ移行することで、利便性を高める一方、過度なデータ取得やBotアクセスを抑制します。結果として、SEO事業者はデータ取得手段を見直す必要が生じました。

無限スクロール化との整合性と今後の影響

無限スクロール(連続スクロール)の導入は地域や端末によって異なり、段階的・実験的に導入。そのため、「ページ数」という概念が薄れつつあり、順位計測ツールで100位分のデータを一括取得することが徐々に難しくなっています

これについては、先行導入されている米国・モバイルの先行実装における「Google検索の無限スクロール公式発表」が参考になります。

今後は、10位ごとの取得制限が一般的となるため、下位の順位を確認することが難しくなります。そのため、SEO分析では単純な順位だけでなく、CTRや平均順位など、より多角的な指標を使って評価することが必要です。

2025年9月のGoogle仕様変更がもたらすツールへの影響と現状

2025年9月のGoogle仕様変更は、主要な順位計測ツールに直接的な影響を与えています。

GMO順位チェッカーやGRC、Rank Trackerなどのツールは、従来は100位までの自動取得を前提としていましたが、現在は10件ずつデータを取得する方法に切り替えるようになったようです

そのため、処理時間が長くなったり、取得できる順位データの精度が下がったり、11位以降のデータが取得できなくなるといった課題が顕在化しています。とくに大量のキーワードを扱う場合、これまでよりも時間とリソースを要するようになりました。

各ツールの運営会社は対応を進めていますが、抜本的な解決が難しいことから、今後はGoogle Search Console(GSC)などの公式データを使った新たな分析手法への移行が必要とされています。

GMO順位チェッカーの制限と対応状況

GMO順位チェッカーは、この2025年9月の仕様変更により100位一括取得が不可能となり、10件ずつの分割取得方式へ移行しました。結果として、取得時間の増加や11位以降のデータ欠落が発生しています。

GMO公式は対応を進めていますが、根本的な回避は難しく、今後はサービス仕様の変更や取得精度の見直しが必要とされるようです。

GRC・Rank Trackerなど主要ツールの影響

GRCやRank Trackerなどの主要インストール型ツールも影響を受けています。従来は自動で100位までの順位を取得していましたが、現在は10位単位での分割処理が必要となり、取得精度や処理速度に課題が発生。とくに大量キーワードを扱うユーザーは、取得制限により分析時間の延長を余儀なくされています。

11位以降の計測困難化とデータ取得精度の課題

11位以降の順位取得が困難になったことで、SEO戦略上の「中間順位層」の分析が難しくなりました。これにより、上位圏内の維持や改善のみならず、順位上昇の可能性があるキーワードの発見も制約されます。今後は、GSCデータやYahoo検索の補完など、複数ソースを組み合わせた分析が重要になります。

キーワード順位計測ツールの比較と選び方

順位計測ツールは、「インストール型」「クラウド型」「無料・簡易型」の3種類に整理されます。

インストール型はGRCRank Trackerなどに代表され、ローカル環境で動作し、コストパフォーマンスに優れています。クラウド型はBULLGMO順位チェッカーなどがあり、チーム共有や自動レポート機能を備えている点が特徴です。

無料・簡易型はSEOピッシュやohotuku.jpなど、手軽に順位を確認できますが、履歴保存や大量分析には向いていません。運用規模や目的に応じて必要な機能を絞り込み、最適なツールを選定することが重要です。

図②:順位計測ツールの分類と特徴
分類 代表的ツール 特徴 適したユーザー
クラウド型 BULL
GMO順位チェッカー
・ブラウザで利用可能(インストール不要)
・自動順位取得・レポート機能あり
・チーム共有・API連携が容易
・複数案件を扱うSEO担当者
・チーム・代理店・事業会社
インストール型 GRC
Rank Tracker
・PCにインストールして利用
・コストが安く個人でも導入しやすい
・詳細なカスタマイズが可能
・個人事業主や小規模事業者
・費用を抑えて運用したいユーザー

2025年9月以降の代替策とキーワード順位計測の指針

2025年9月の「&num=100」パラメータ廃止により、従来の順位計測手法に依存することは難しくなりました。そのため、SEO担当者は代替策として複数の方法を組み合わせることが求められるでしょう。

まず、Yahoo検索はGoogleエンジンを採用しており、一部環境では100位までの表示が可能なため、補助的な順位確認に活用できます。次に、GSCは平均順位やCTR、表示回数を正確に取得でき、公式データとして高い信頼性があります。

さらに、GRCやRank TrackerなどのツールとAPI連係を行い、Google公式データを自動取得・分析する体制について整えることも有効です。こうした手法を組み合わせることで、データの精度と取得効率を両立させ、最新の仕様下でも安定したSEO運用が可能になります。

Yahoo検索の活用と注意点

Yahoo検索は依然としてGoogleエンジンを採用しており、一部環境では「&num=100」をURL末尾に付与することで、100位までの検索結果を表示できます。

手順はGoogleとほぼ同様ですが、Yahoo側では一部の環境で動作しない場合があります。Google順位を完全に代替するものではありませんが、11位以降の順位傾向を把握するための補助的な手段として活用可能です。

ただし、Yahoo独自のフィルターや広告配置の違いがあるため、結果の読み解きには注意が必要です。

GSCでの平均順位分析

GSCは、Google公式の平均順位データを提供します。自サイトに限られますが、クエリ別・URL別に平均順位やCTR、表示回数を確認でき、下位順位や非表示キーワードの傾向分析にも有効です。スクレイピング禁止の流れの中で、今後はGSCのデータを基盤とした順位分析が主流となる見込みです。

データ連係・API活用による精度補完

図③:GSCを活用した新しい分析フロー
① GSC(Google Search Console)
平均順位・CTR・表示回数・クリック数などの公式データを取得
② スプレッドシート/BigQuery
データを自動連携・加工し、履歴・傾向を整理
③ BIツール(Looker Studio など)
グラフやダッシュボードで可視化・共有
※ スクレイピングに頼らず、GSC APIや公式連携を活用した正規ルートでのデータ分析体制へ移行

順位取得の精度を高めるためには、GRCやRank TrackerのAPI連係、スプレッドシートやBIツールとのデータ統合、スクレイピング以外の正規ルートの活用などが有効です。

GRCやRank Trackerなどのツールは、Google Search Console API(GSC API)や独自APIとの連係でデータ精度を高められます。Google SheetsやBIツールと組み合わせることで、自動更新・可視化が可能です。APIの利用には日次上限があるため、注意が必要です。しかし、正確なデータ収集や分析効率化に有効な手段といえます。

SEOにおけるキーワード順位追跡の重要性

Googleはキーワード順位を追跡することの重要性について、公式な発表をしていません。順位データは主にGSCを通して提供されており、Googleが重視しているのは「検索体験の最適化」であり、「順位そのものの追跡」ではありません

しかし、実務上はSEO施策の効果測定や改善の指標として、順位データの活用が欠かせないものです。順位の推移を把握することで、コンテンツや内部施策の成果を定量的に評価し、課題を早期に発見できます。

とくに2025年9月のGoogleシステム変更以降は、取得可能なデータ範囲が制限されており、単純な順位分析だけでは不十分です。これからは、GSCが提供する、平均順位・CTR・インプレッション・クリック数などの複数指標により、総合的な評価を行うことが求められます

これにより、順位の上下だけでなく、実際の流入や成果に基づいた意思決定が可能です。

継続的なモニタリングと多角的な分析を行うことで、アルゴリズムの変動や競合状況の変化を迅速に把握でき、戦略的なSEO改善につなげられます。結果として、ユーザー体験を重視した、持続的な成長戦略を構築する上でも、キーワード順位の追跡は重要な要素となります。

順位変動のモニタリングがもたらす改善効果

キーワード順位の定期モニタリングは、SEO施策の効果検証やアルゴリズム変動の早期察知に不可欠です。順位変動を分析することで、コンテンツ改善や内部リンク調整など、的確な改善施策を迅速に実施できます。また、急激な順位低下を検出すれば、インデックスやペナルティの問題を早期に特定可能です。

最新仕様下での分析戦略と意思決定

2025年9月の「&num=100」廃止後の環境では、単一の順位計測ツール依存から脱却し、複数ソースの統合分析が鍵となるでしょう。

平均順位やCTR、インプレッションを組み合わせた総合指標で評価し、順位そのものよりも流入・成果に基づく意思決定へ移行することが求められます。これにより、検索体験を重視した持続的なSEO戦略が可能になります。

図④:順位計測の目的の再定義(順位→流入→成果)

③ 成果(ビジネス指標)
CVR / 売上・LTV / 申込数(KPI)。最上段=最終目的

② 流入(トラフィック)
クリック数 / セッション数 / 新規・再訪比率(GSC・Analyticsで確認)

① 順位(評価指標)
平均順位 / 表示回数 / CTR(GSC)。“手段”であり“目的”ではない

※ 上段ほどビジネス価値が高く、順位は成果に至るための中間指標
GSCの指標(平均順位・CTR・表示回数・クリック数)を起点に、実際の流入と成果まで一気通貫で評価します。

2025年9月のGoogle仕様変更まとめと今後の展望

2025年9月のGoogle仕様変更は、SEOの在り方そのものを見直す契機となりました。順位計測の手法が制限される中で、正確なデータを取得するためにはGSCやAPI連係など、公式ルートの活用が不可欠です。

また、キーワードの上位表示だけを目的とするのではなく、ユーザー体験を向上させるための手段として、SEOを考え直す必要があります。

今後は、CTRや滞在時間、コンバージョンなどのエンゲージメント指標を重視し、総合的なサイト評価を高めるSEOが主流になるでしょう。これにより、検索体験を重視した持続的な成長戦略が実現します。

Google公式ツールへの移行と分析力強化の必要性

今後はGSCを中心とした公式データ活用が主流となり、従来の順位取得手法を採用している順位計測ツールからの移行が進むと予測されます。正確性・安定性を重視し、公式データを基盤にした分析体制を整備することが重要です。ツール連係や自動化を活用し、分析精度を高める運用体制が求められます。

順位計測の目的を再定義し、ユーザー体験重視へ

順位計測は目的ではなく手段です。順位の上下よりも、検索意図への適合度やCVR(コンバージョン率)など、実際の成果を重視する指標への転換が求められます。

今後のSEOにおいては、単なる順位変動よりも、CTRや滞在時間、コンバージョンなどの実績指標を重視することが成功の鍵となります。キーワード順位を正確に追跡しつつ、ユーザー価値の最大化を目指す姿勢が不可欠です。
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